都内に本社がある東証一部上場の製造業に勤務している松永(まつなが)はその日のために用意周到に準備を重ねてきた。外回りを装い、彼女のアパートを観察し行動パターンを調査してきた。営業成績を犠牲にしたため、上司から怒鳴られながらもその欲望を抑えることはできなかった。近所の人に怪しまれないようにと、宅配便業者の制服に極めて似た作業着も用意した。そして通信販売で入手したスタンガン。今の時代は金さえ出せば何でも手に入る時代だ。足がつかないように偽名で1ヶ月間安アパートを借りて全ての準備をこのアパートで整えていった。スタンガンでどこを狙うのが一番効果的かも自らの体を使って入念に実験してきた。そしてとうとう決行の時が近づいてきた。松永自身の積年の夢、あの美しい橋本弘美(はしもと・ひろみ)の体を弄ぶ計画を実行する時がきたのだ。


橋本弘美(はしもと・ひろみ)、松永にとっては人生最高の女。何としても手に入れたいのだがなかなか手が出ない女。美人でお尻が大きいという、松永にとって全てを備えた女なのだ。北関東の名士のもとに生を受け何不自由なく育てられてきた彼女には、ふとした仕草の中にもお嬢様ぶりが感じ取れる。上京して一流の女子大を卒業し松永の会社に入社してきたのだ。東証一部上場の大企業に勤める松永だが、その日を堺に一流の営業マンから徐々に人生を踏み外してしったのだ。彼女が入社後、仮配属の時に全員の前で始めて挨拶をした、その瞬間から弘美の虜になってしまった松永。ちょっと太目の肢体を初々しいスーツとタイトスカートにくるみながら、はにかんだ笑顔で挨拶をした橋本弘美。

「理想的な女だ。」
彼女を見た瞬間に感じた松永。それまでも気に入った女子社員がいないわけではなかったが、弘美ほどのインパクトは始めてだった。既に妻子がある松永は自らの結婚すら後悔した。弘美に心を奪われた彼は、自分の課に配属されることを切に願ったのだが、残念ながらその願いは叶わなかった。その後、上司に取り入り自分は彼女の才能を高く評価しているとの印象を人事権を持つ上司に印象付け何とかして彼女を自分の部下にするよう奔走したものだった。

やがてその努力が実りとうとう自分の部下として弘美を迎えるに至った松永は、彼女に取り入るために次々と策を弄していった。課長としての立場を利用し、彼女とペアで動く仕事をさせたりわざと徹夜に持ち込み労をねぎらいながら優しさをアピールしたり、彼女に気に入られようと必死になったのだ。しかし異常なまでの彼女への傾倒ぶりを女心で微妙に察知されてしまったのか、何回かトライしたアプローチは悉く失敗してしまったのだ。弘美は表面的には松永を嫌っている様子は見えないものの、食事に誘ったりするとあっさりと、
「今日は予定がありますので。」
と、断られてしまう。そんなことを繰り返すうちに最初は純粋に愛していた感情が次第に歪んだものに変わっていくのを松永自身も感じていた。同じ課のメンバーとして働いていると、ふとした瞬間にへたなセクシー写真よりもはるかに刺激に溢れる光景にでくわすことがある。

松永はどういうきっかけか、女性のヒップに異様なまでの執着を持つようになった。乳房を見てもさして興奮しないのだが、衣服に覆われていてもヒップの持つえもいえぬ優美な曲線にはどうしようもない欲望を覚えてしまうヒップフェティッシュなのである。女性の好みも徹底してお尻の大きい子に向けられてきた。中学生、高校生と中にはスレンダーでヒップの小さい子と付き合ったこともあったが、どれも長続きしなかった。高校三年の夏、受験勉強の傍らで付き合っていた同学年の彼女との初体験もときめくものではなかった。むしろコトが済んでいたずらがてら彼女のお尻を撫でまわしていた時の方がはるかに刺激的で興奮できたのだ。その頃から自分の性癖は他人と違っていることを自覚していった松永。大学、社会人と成長するにつれ一層その傾向が強まっていくばかりか、嗜虐性までを身につけてしまうに至りアブノーマルな性癖が一層エスカレートしていったのである。

同期入社で、松永のセクションに配属された女子は五名いたが、その中で群を抜いてお尻が大きかった橋本弘美。全体にふっくらした体型なのだが、うりざね顔はどちらかというと細面。セミロングでやや茶色がかった髪はきれいな内巻きカールで女性らしさを演出している。大きな瞳と細く通った鼻筋。視線を胸元におろすと、ヒップに負けない位の女らしさを主張する、いわゆる「巨乳」というやつだ。そしてムッチリと脂の乗ったウエストまわり、巨大なヒップを支える逞しい太股、普通の感覚の男からすると太いと感じられるだろう足首。それら弘美の全てが松永には理想的に思えた。

そんな弘美が電話を取るために立ち上がってお尻を突出す瞬間、床のものを拾おうと体をかがめる瞬間、急いで通路を小走りで走る時に遠目にもヒップが揺れているのがわかる瞬間、などなど日常的な仕草の中でエロティシズムを演出してくれ、松永を悦しませてくれた。電車でクライアント先に出掛ける際などに満員電車であったのを良いことにマシュマロのように柔らかい巨臀を触ったこともある。その時の指の感触だけで何回もの自慰行為に及んだ松永であった。

自分が太目であることにコンプレックスを持つ橋本弘美は、足を露出するのを避けるために次第にスカートを穿かなくなっていった。そしてお尻の大きさを少しでもカムフラージュすべく緩めのパンツを好んで着用するようになった弘美。しかし、お尻を突出す格好を取るといかに緩めのパンツとはいえ、深々と彼女の臀裂へ食い込み双丘の窪みをあからさまに強調してしまう。思わず仕事の手を止め食い入るようにそんな弘美のヒップを見つめるのが、いつのまにか松永の日課となっていった。

周りに悟られないように気を付けながら弘美の大きなヒップを視姦する毎日が続いた。女性には、第三の目があるというが、やはりお尻の大きさを気にする故だろうか弘美は次第にねちっこく張り付く松永の視線に徐々に気付いてきたようだった。極力松永の方にお尻を向けるのを避けはじめていった様子が伺えた。松永本人は夢中のあまり気付いていなかったが、そんなことも彼の誘いをにべもなく断る理由だったのだ。

そんなことにまだ気付かない松永は、見て悦しむだけでは満足できなくなってしまった。密かにカメラを使って弘美の尻を写真に収めるようになったのだ。とはいえデジタルカメラが普及していな時代だったうえ、当然フラッシュなど焚けないので写りの悪いものばかりだった。松永はそれでも始めは満足だった。勇気を振り絞ってDPE屋に現像を依頼し、出来上がりを心待ちにした。DPE屋では偽名を使い顔がわからないように気を付けながら写真を受け取った。そして期待に胸を膨らませながら写真に目をやる。

想像以上の写りの悪さに少々落胆しつつも、あの弘美のお尻が写っている写真が自分の手にあるという事実に松永は酔いしれた。黒っぽいパンツ姿でお尻を振って歩く弘美の姿を好きな時に拝むことができるのだ。それらの写真で数え切れないほどの自慰行為に至った松永は、欲望をどんどんエスカレートさせていったのだ。最初は弘美のお尻のシルエットだけでも満足していたのだが、段々お尻の形が鮮明な写真、お尻の割れ目に食い込んでいる写真が欲しくなってくる。いきおい撮影は一層勇気のいるものになるが、弘美のお尻への執着心はそんな危険な撮影すら松永に実行させたのだ。

時折穿いてくる淡めのスラックスが最大のチャンス。そして昼時に食事に出る時は表での撮影が可能だ。すれ違う人間に気をつけながら昼食に出掛けた弘美の後ろをマークし、何度も何度もシャッターを切っていった松永。心臓はバクバクと音を立て、DPE屋にすかさず現像を依頼した時など手がはっきりとふるえていた。太陽光に照らさた弘美の巨臀は、今度ははっきりと写っているに違いない。はたして彼の期待に違わず出来上がってきた写真は彼女のお尻の魅力を余すことなく伝える素晴らしい写真となったのである。松永にとってはどんなエロ写真にも優る最高の写真だった。このように弘美のお尻への執着がもうどうにも歯止めのきかないところまでエスカレートしていったのだ。

続く